馬耳東風のキャトルドッグ

バジルというオーストリアンキャトルドッグの男の子が、幾多の困難を乗り越えて名犬になるまでの記録です。ちなみに、困難は彼自ら作り出し、名犬は迷犬になる可能性大です。

倒れる

やはり彼はヘタレでありました。


「ぼく、もうだめだ…。ママ、泣かないで、ぼく、幸せでした」


だから言ったでしょ。

昼にお散歩は避けなきゃって。

どんだけグロッキーだ。


急いで彼の両脇に冷たいペットボトルを差し込む。


「まあ、ないよりましだね」


ママもパパも暑いの❗

なのに君のせいでぬるーくなった水とお茶を飲むことになったよ。


それにさ、具合が悪くなったのはボールのせいじゃないよ。

君がフルスロットルで走ったからだよ。


「いや、あいつのせいだ。穴に隠したった。これで追いかけなくてすむ」



誰も頼んでないのに。

勝手に倒れたのはボールのせいにしたバジルなのでした~ ⬅今日のワンコ風

猛暑のはじまり

きた…!

夏がきたよーん😨


時間が自由に使えなくなるのが夏です。

バジルのお散歩が早朝か、夜の日が落ちてからだからです。

朝行きそびれると、夜までずっとまとわりつかれて、なにもできやしない。


「ストレスう!凍ったヤクルトで涼もっと」


ママだってやだよ。

とりあえずトイレ行こうよとお庭へ出そうとしても、やだ!ボクが行きたいのはお庭じゃなくてお散歩だよ、と足を踏ん張って、被害者ヅラするし。


「とりあえず家で走るわー」


ああ、激走してる。


「ママ、面白いこと言ってみ?」


ないわ!そんなもん。

灼熱のなか散歩いってもいーんだぜ、ダルがらみしてくるなら。

受けてたってやるぜ。


でも熱中症になったらこわいから、やめました。

オーストラリアンキャトルドッグってそもそも、過酷な暑さのなか、牛追いの作業をするために作られた犬種です。

でもうちのおほっちゃま、たぶん倒れるから。日差しが強いと、私の影に入って歩く軟弱ものです。


「暑いのはちょぅと。軽井沢に別荘とかないのー?」


今日から7月。

受験生の娘、社会手つかず。

バジルと娘と、モヤモヤした感情を与えてくれる天才だ(泣)

完璧なシドニー

昨晩、小さかった頃の娘の夢をみました。


抱っこして、ギュッとすると弾けるように笑っていました。


その頃、家には初代のキャトルドッグ、シドニーがいました。



シドニーです。優しいけど強い女の子でした。

まゆを自分の子供だと思っている節があり、誇り高いお母さんぶりでした。

夢に出てきたような小さな娘には口のなかに手を突っ込まれても耐えていました。


娘が大きくなった、シドニー晩年の頃は、通りすぎるとき澄ました顔で足を踏んでいました。


年齢で関わり方を変えていたのでした。



最期の、さよならの時も完璧でした。

初秋の、まだ夏の名残のある庭で、シドニーは眠れぬ夜を明かしました。

娘が傍によって、話しかけました。

「学校から戻るまで待っててね」


シドニーは、わかった、と言ったみたいでした。

その日の夜、娘としっかり別れ、もっとも愛した夫の胸のなかで息をひきとりました。


なぜなんでしょう?みんなそうなんでしょうか?

あまりにも完璧な子だったので、私も、家族たちも、シドニーの細かなことが思い出せないのです。

いなくなった衝撃がいまも続いていて、それが邪魔して思い出せないのです。


2年ののち、バジルを迎え入れるときも、私たちは必死でシドニーの面影をそのなかに探しました。

2頭いた子犬のうち、バジルを迎え入れたのは、ひとえにバジルの顔立ちなかにシドニーを見た気がしたからです。


しかし、そうは問屋がおろさなかった。



性格がこうも違えば顔も違ってくるのだとは知らなかったのです。


完璧なシドニーは、たやすく誰かに投影なんてさせてくれない。

しっかりバジルと向き合って暮らしなさい、と教えてくれています。


小さな娘とシドニー